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準備期間10日の結婚式


これは直接私が担当したわけではないのですが、
準備を手伝わせていただいた披露宴のお話です。

私が勤めるホテルに1件のお問い合わせがありました。

「今から1週間か2週間後ぐらいに結婚式ってできますか?」


通常、結婚式は半年〜1年以上前に予約をして、準備を始めるものです。

1週間〜2週間で結婚式を挙げるなんて聞いたことがありませんでしたが、
実はそれにはこんな理由があったんです。


もともとは別の式場を予約していたお二人なのですが、
ご新郎のお父様の体調が思わしくなく、
お医者様から余命があと1ヶ月あるかないかと言われたんだそうです。

お二人は急遽、2週間以内に式を挙げようと思ったものの、
予約していた式場からは「無理です」と断られてしまったそうなんです。


問い合わせを受けた担当者は、一度電話を切って、
事務所に入ってきて皆に相談しました。

皆の答えはひとつ、なんとしても実現しよう!ということでした。

通常通りのやり方では無理でも、
できる方法を探していこう!

そこから、スタッフは一致団結して、
結婚式実現へ走り出しました。


まず日程。

土日はすべて埋まってしまっていたものの、
平日であれば空きがあり、10日後の昼から結婚式を行うことをその日のうちに決定。

さらにすぐにホテルへ来てもらい、ドレスも決定。

招待状は間に合わないので、
お二人から直接ご連絡していただいて出欠も確認。

料理は用意できるものでシェフに特別メニューを組んでもらう。

テーブルクロスやナプキンは、ブライダルフェア向けに用意してたものを使う。

席次表や席札は、事務所のプリンターを使って印刷する。

引き出物の手配を急げー!

などなど、スタッフ全員が知恵を出し合い、
それぞれ手分けして一気に手配と準備を進めました。

業者の方々にも事情を説明して、
無理なお願いにも関わらず快く協力していただきました。


こうして、結婚式に関わるすべてのスタッフが迅速に行動して、
当日は、とても10日で準備したとは思えないほど、
ほぼ通常通りの体制で臨むことができました。


急な開催にも関わらず、たくさんの方が集まってくださり、
そして何より、お父様も思った以上に元気なご様子でした。

「こんなにたくさんの方が集まってくれたんですから、
 今日は最後まで笑顔でいますよ!」
と、ご新郎ご新婦様も常に明るい笑顔を振舞っていらっしゃいました。


披露宴の最後には、お父様からの謝辞があり、
「バカ息子の結婚をこの目で見ることができ、本当に生きててよかった!」
と最高の笑顔でおっしゃっていました。

さらには、
「急なスケジュールにも関わらず、結婚式を準備してくださったスタッフのみなさん、
 本当にありがとうございました!」
とお礼のお言葉までいただき、これには私はじめ、スタッフ全員、
涙をこらえるのに必死でした。


当日のアルバムやビデオは、
通常より早いスケジュールで仕上げてもらい、
すぐにお二人のもとへお届けしました。
お父様と一緒にご覧いただけたとのこと。


それから1ヶ月ほど過ぎた頃、
担当へお二人から、お父様が他界されたとご連絡をいただきました。

あの時、無理だとあきらめずに、皆でがんばってよかった。
この仕事をしていてよかったと、心から思います。


そして、いい結婚式を作るのは、お金でも時間でもなく、
新郎新婦をはじめ、参加する方ひとりひとりの気持ちなんだということを、
改めて実感させていただきました。

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